《MUMEI》 ──引っ張られる。 抵抗する間も無く。 「っし」 川縁に近付いて 珠季が立ち止まった。 「声出すなよ‥?」 「‥ぇ」 その言葉に 動揺した。 「‥‥‥‥‥‥‥」 声を‥ 出すな‥? そう頭の中で反復していたら。 何やら‥ 光が。 1つ2つだったものが 次第に数を増していく。 ──幻想的だ。 それらがゆらゆらと漂うのを暫く見つめて ようやく その光が蛍なんだと気が付いた。 「───────」 成程‥。 珠季は これを見せてくれようとしていたんだ。 前へ |次へ |
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