《MUMEI》
ホワイトデー
俺が柊に気合いを入れた翌日。


つまり、柊と希先輩の旅行の当日は、ホワイトデーだった。


柊と希先輩は、バレンタインにお互い手作りチョコを交換していて


『ホワイトデー、どうする?』


そんな柊の問いかけに


『…旅行、行かない?』


そう、希先輩が提案したのが、きっかけだった。


(今頃駅かな)


卒業した希先輩は既に春休みだったが、俺と柊はまだ普通に学校があったが


幸い、今年の三月十四日は、土曜日だった。


(ファンクラブの皆には昨日配ったし)


今日明日バイトの志貴にも昨日渡したし


果穂さん達へのお返しも


今年はちゃんと手作りで返した。


(柊には、日曜日帰ってきたらやればいいし、祐には送ったし…後は…)


考えていると、宅急便がきた。


(…忍からだ)


直接来なかった事にホッとしながら箱を開けると


「……嫌味なほど気合い入れたな」


そこには、飴細工の真紅のバラが入っていた。


《どうだ? 俺の腕前は?》

「あのレベルは、俺には無理だからな」


その夜、得意気な忍に俺は呆れながら答えた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫