《MUMEI》 怒鳴ったのは猪狩だった。 「怪我人は黙ってろ!!」 その言葉にヤマトが反論する。 「お前クロは雰囲気悪い状況を直そうとして話してんだよ!! 1番頭に来てんのに元気に振る舞ってんだぞ!?」 「知らね〜よ!! 空気読んでね〜だけだろ!!」 「だからその空気がよくね〜からクロは…」 「止めてよヤマ。」 「クロ… でもお前…」 「大丈夫。 さっきも言ったけどあいつの速攻は僕が止める。 根拠がなく言ってるわけじゃない。 大丈夫。 ホントに大丈夫だから。」 「…わかった。」 … どこか重苦しい雰囲気の中、 後半が始まろうとしていた。 時計を確認し、 コートに選手たちが集まる。 … 「あれ? さっきケガした人出るみたいだよ?」 「ホントだ…。 大丈夫なのかなあの人?」 「大丈夫だよ。」 「え?」 「小太郎はあんな簡単にケガする選手じゃない。 小さいケガはしても、 大事に至るようなケガをする奴じゃないから。」 「美紀…?」 … コートに立つクロを見て、 観客はざわついていた。 「おいクロ!! 行けんのか!?」 他校の選手が声をかける。 クロは笑い、 手を振る。 「見てて〜!!」 (これからあいつらを、 やっつけてくるから…さ。) 前へ |次へ |
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