《MUMEI》 明らかに…ホワイトデーの翌日。 三月十五日。 「ただいま、祐也!」 俺のアパートを訪れた柊は 満面の笑みで …フェロモンが倍増していた。 (絶対ヤッたな) 「…何の用だ?」 わかっていながら、俺は質問した。 「わかってるくせに。一日遅れのホワイトデーと、…旅行の報告」 すぐに柊は、いつもの乙女柊になった。 「報告は別にいい」 「俺の事はどうでもいいの!?」 「そうじゃない。…見ればわかる」 「…そうなの?」 俺は深く頷いた。 「だから、クッキーやるからとっとと帰れ」 「冷たい!もっと話をしようよ!」 「ノロケ話をしたいだけだろ」 「う、…」 (図星か) それから、柊は 「いいじゃん! ノロケられる相手祐也しかいないんだから、聞いてくれよ!」 開き直り、一方的に玄関で詳細を語り始めたので (仕方ないな) 「近所迷惑だから、入れ」 「お邪魔します!」 俺は渋々柊を部屋に招き入れた。 同じ頃 志貴に呼び出された希先輩も、旅行の詳細を質問されたらしく 月曜日、会った志貴は、既に事情を知っていて機嫌が良かった。 前へ |次へ |
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