《MUMEI》
一抹の不安
それから俺は、頼と他の三人を部屋に招き入れた。


エイミーの引越しは、家電のほとんどを以前住んでいた大学生からそのまま譲り受けたから、比較的簡単に終わっていた。


「なぁ、頼…」

「ん?」


三兄弟が盛り上がっている隙に、俺は頼にさりげなく質問した。


「ここ、壁薄いんだけど、エイミーの部屋でヤル時あるのか?」

「あ、それは平気。隣があるから」


ストレートに訊いた俺に、頼は至って冷静に答えた。


「…隣?」

「空室だったところ、それ用に借りたんだ。あそこなら、平気だろ?」

「まぁ…」


(隣の隣なら聞こえないし)


そこで、更に疑問が浮かんだ。


「お前、そこに住むのか?」

「住みたかったけど、厳に『ずるい』って言われたし、ばあちゃんにも反対された」


頼は本当に残念そうだった。


「それに、エイミーが一人暮らししてみたかったみたいだし。
あ、これからエイミーが出かける時にはいつも俺が駆けつけるからよろしく」

「過保護過ぎないか?」


(そんなに好きなのか)


しかし、その理由は過保護ではなく、エイミーが方向音痴だからと、俺はその後アルフに力説された。

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