《MUMEI》
破裂
いつになく冷たい風が、俺の頬を照り付ける。


ハッと我に返った。


確かに俺はあの時の蓮翔ちゃん、颯ちゃんに憧れていた。


いや、妬いてたんやろうか?


だけど今のアイツらはなんや?


まず目の前にいる蓮翔ちゃん。


野球一筋だった彼。


人一倍人望が高くて、どんな苦痛や努力も惜しまない、そんな奴やった。


そして颯ちゃん。


アイツは人一倍明るくて、どんな辛い局面にぶち当たっても決してめげない、芯の通った奴やった。


だが今を見て見れば………。


何やこいつらは?


怒りと言うよりは、呆れる方に近いため息が出てまう。


「俺はお前等に構っている暇なんてないんや。」

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