《MUMEI》 . ばさっと髪をなびかせると、すれ違った男子生徒たちがわたしの背中を振り返った。 「あの子、新入生?美人だな〜」 「今年の1年の中で、断トツだよ」 ひそひそ話す彼らの会話を盗み聞きして、わたしはフッと勝ち誇ったように笑う。 そうでしょうとも!! わたしの最大の武器。 それは、この類い稀なる美しさだ。 心の中で呟き、小さくガッツポーズをする。 この美貌があれば、 どんな男も簡単におちる、はず!! 間違いない、はず! 胸を張ってズンズン廊下を進み、突き当たりの角を勢いよく、ぐるんと曲がった。 −−−ドンッ!! 「ぶっ!!」 瞬間、出会い頭に《だれか》とぶつかった。 . 前へ |次へ |
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