《MUMEI》 出会い頭に…. わたしは思い切り鼻をぶつけてしまい、その痛みのあまりしゃがみ込んで悶絶していると、優しい声が降ってきた。 「……大丈夫?」 わたしは鼻を押さえて、《だれか》を見上げ、キッと睨みつける。 「どこ見て歩いてんのよ!顔が傷ついたら、どうしてくれんの!?」 大きな声で怒鳴り付けてから、固まった。 最初にわたしの視界に移ったのは、黒いセルフレームのメガネ。 義仲を追いかけていた、あの青年教師だ!! 「ホント、ごめん。ぼーっとしてた」 わたしの気迫に萎縮したのか、彼は申し訳なさそうに呟いた。 …………し、 しまったぁ!! わたしはすくっと立ち上がり、笑顔を浮かべる。 「なーんちゃって!!冗談ですよぉ、先生!こちらこそ、まえをちゃんと見ていなかったので、おあいこです」 アハッと無邪気をよそおい言い繕うと、彼は戸惑ったような顔をして、メガネの位置を直した。 「そ、それなら、良いんだけど…」 . 前へ |次へ |
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