《MUMEI》 「ここだ。」 グレイドが満足げな表情で、前方を顎で示す。 前方には、大きな洋館が聳え立っていた。 「凄い。」 感嘆のため息しか出てこない。 だってこの家……中世の西洋にでも建ってそうな、物凄くでっかくて綺麗なんだ。 おとぎ話にでも出てきそうな、絵になりそうな……そんな家。 まず屋根。 赤色の尖んがり帽子を被せたかのような、小高い屋根が大きく真中に一つ。 左右に一回り小さなものが一つずつ付いている。 窓は独特な細長い形をしていて、玄関扉は大口を開けた蛙のようにとても大きかった。 玄関扉と屋根以外は白。 俺達の目の前にある、門は黒色をしていた。 その門を、グレイドが慎重に開ける。 「あの、なんで自分の家なのに、そんな慎重に入るんですか?」 前へ |次へ |
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