《MUMEI》 いつ珠季が僕を追い越したのか。 ‥全く分からない。 まさか── 数段飛ばした訳じゃないよな‥? 単に僕がぼんやりしていただけか‥? 「おーい、一文無しが負けちまっていーのかー?」 「──だ‥誰が負けるものかっ」 別に 勝ちたい訳じゃなく‥ 一文無しだからという訳でも無く‥ 君を只追いかけたい── それだけなんだ。 「───────」 ‥3階。 ‥4階。 さっきまでとは逆に 今は珠季が有利だ。 「──速いな‥」 無意識に 呟いていた。 珠季は 本気を出せば僕よりも上なんじゃないかと── 最近そう思う。 気のせいなんかじゃなく── 本当に。 前へ |次へ |
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