《MUMEI》 あの日を境に私達は仲を違えた。 少なくともあいつよりは私は好かれていた筈だが。 あいつを私は許さない。 繰り返す輪廻を止める術は死だ。 旧水上堂に呼び付け、『立て付けの悪い』扉に閉じ込められてしまえばいい。 旧水上堂には祭の邪気払いに使用する薪が溜め込んである。 『偶然』其れに火が点いたら……そう、例えば母も『偶然』徘徊していたんだ。 母の睡眠薬が早々と切れてしまう、母は昔、水上姫であった記憶を頼りに旧水上堂へ足を運ぶだろう。 あいつと母は『偶然』居合わせた。 二人は燃え盛る焔に包まれる、村人は思うだろう。 若い男女の死体、 ………………心中だと。 閉じ込めるのは私の手では無い、共感して呉れたもう一人の私だ。 前へ |次へ |
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