《MUMEI》
第一章 ゼンセノキオク
 今日、私は高2になる。




 春の、ぽかぽかした陽気の中を、私はのんびり歩いていた。




 でもふと、桜並木を見上げて立ち止まる。




 ‥私には、ずっと気になっている事がある。




 それは、私の中に、もう一人の‥過去の私がいるという事。




 私は‥前世の記憶を持っている。




 私は、花売りだった。




 身分は下に近かった。




 だから毎日、売る為の花を摘みに丘に出かけていた。 そこで休憩がてら、桜を見るのが好きだった。




 独り言みたいに、桜に話しかけたりするのが好きだった。




 そんな春の日、私は‥あの人に出会った。

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