《MUMEI》

◇◇◇




『何を喋っているんだ、一人で』




『ぇ』




 振り向いた時、そこには同い年位の男子が立っていた。




 飾り気のない服装をしていながら──私とは比べ物にならない位に高貴な雰囲気を漂わせていた。




『誰‥ですか?』




『‥黄羽』




『このは‥?』




『黄色い、羽』




『──綺麗な名前、ですね』




『君は』




『うづき‥』




『うづき、か』




 呟いてから、黄羽という男子は、桜を見上げた。




『あなたは‥祇園の人?』




『さぁ──どうだろう』




『───────』




 不思議な人‥、そう思った。




◇◇◇

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