《MUMEI》 . 松本先輩はあの、透き通るような優しい声で囁く。 「大丈夫じゃ、ないでしょう?」 ぎゃあぁぁぁぁぁ〜!!!! ダメ! それ以上近寄らないで!! 心臓が破裂するって、マジで!! 「ホントにホントに、大丈夫ですから!」 顔を真っ赤にして、叫ぶように答えると、先輩は制服のポケットをごそごそとあさり、ハンカチを差し出してきた。 きれいにアイロンがかけられた、鮮やかなストラップのハンカチ。 ポールスミスか……。 混乱しながらも、目敏く、ブランドはきちんとチェックした。 無難すぎるけど、とりあえず合格かな。 ……なんて、ひとりで査定する。 . 前へ |次へ |
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