《MUMEI》

「着替えとタオル持ってきて。」

国雄の指示でクリーニング済みのトランク内のスーツ一式とコインランドリーのバスタオルを取りに行く。
補足だがコインランドリーでは白い物を洗濯したので服はスーツ以外は積んで無い。


「持ってきた。」

国雄はデカすぎてシャワー室から頭が出ていて一目で判別出来た。


「…………小さいタオルある?」


「あるよ。」

扉から手が伸びたので、手渡そうとタオルを差し出す。


「……掛かったな。」

口許が釣り上がった。
国雄の腕力には抵抗できないので大人しくシャワー室にタオルごと引きずられてく。


「服……どうする?」

シャワーが頭から肩にかけて降り注ぐ。


「裸で歩けば?」


「なにその趣向」


「仕置き。」


「殴る?」


「嬲る。」


「一人足りな……ア」

唇で会話を遮られた。
砂と塩分が微かに広がる。

シャワー室内の狭さは国雄のトイレくらいだ。
角に追い込まれ壁に肩がぶつかるので猫背になった。
服は肌に張り付いて国雄の触れたとこから体温が測れる。

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