《MUMEI》
「手術はうまくいったの…、だけど、…だけど…」
「………お袋…」
お袋は俺からゆっくりと離れ、意識のない兄貴に俺が来た事を告げた。
「手…、触っても大丈夫?」
「握ってあげて?惇、握ってあげて…」
俺はひざまずき、兄貴の真っ白い横顔を見ながら
兄貴の手を両手で握りしめ
目を閉じて
「…助かれ」
本当に、心から
俺はそれを絞りだすように、言った。
モニターの音
お袋の啜り泣き
親父の、
兄貴への励まし
俺の手の中の
兄貴の、至って普通の
……暖かい、温もり
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