《MUMEI》 するとグレイドは顔をしかめて、唇に人差し指を当てた。 「し! 静かにしろ!!」 「え、何で…?」 「いいから言う通りにしてろ。」 そう言って今度は中を見渡し、慎重に足を進めて行く。 だから何でそこまでして慎重に入るんだ? ここ、グレイドの家……。 ん!? 「あの、ここ本当にグレイドの家なんですよね?」 「そうだ。」 グレイドは仕切りに辺りを見回しては、恐る恐る歩いている。 その足振り。 まるで泥棒だ。 「だったら何で忍び足にならなきゃならないんですか!?」 ついに痺れを切らして、大声で怒鳴ってしまった。 「おまっ、静かにしろって言っただろ!!」 そう言ったのも束の間、突然黒い、大きな影が飛び出してきた。 前へ |次へ |
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