《MUMEI》

 ──2時限目が終わった後。




 教室から出て行った菜畑君を追って、私は廊下を走っていた。




「黄羽様っ!」

「?」




 菜畑君が、私を振り返った。




 ‥でも。




「君は‥?」

「此花サクヤ‥、あの──黄羽様、私‥」

「‥人違いだ」

「ぇ」




 ‥冷たい、眼差し。




「誰だ‥? そのコノハサマって」

「‥黄羽‥様‥?」




 菜畑君‥前世の記憶がないんだ‥。




「サクヤ、ほんとに菜畑君なの? コノハ様って‥」

「うん、ほんと‥」




 あの目が、姿が、あの男子があの人だと‥私に確信させた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫