《MUMEI》 青ざめているわたしの横で、松本先輩が困ったように、ですが…と呟いた。 「ものすごい量だったので、心配で……少し彼女にベッドを貸していただけませんか?」 お願いします、と松本先輩はペコッと頭を下げた。わたしは胸がじーんと熱くなる。 ………ああ、松本先輩ったら。 こんな怖そうなオッサンに頭を下げてくれるなんて………。 わたしは、ニヤリと笑う。 …………ハマったわね! この、超絶☆美少女の、片倉 璃子の美貌に!! そりゃ、そうよね! わたしみたいな美人は、自分からあーだこーだ動かなくても、男の子たちが先になーんでもやってくれるものね〜! どブス相手だったら、こうは上手くコトが運ばなかったわよ!! ……んも〜〜! これだから、美人はおトクよねぇ〜!! んふふ…と不気味な笑い声をあげていると、保健医のオッサンが、オイ!と鋭く呼びかけてきた。 「ニヤけてんじゃねぇ。とっとと入りな!」 わたしはハッとして、あわてて医務室へ入る。 前へ |次へ |
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