《MUMEI》
現れた悪魔
渡辺先生はカーテンの向こうがわのひとへ向かって、だまれクソがき!!と怒鳴りつけた。

「神聖な医務室を利用して、堂々と授業サボりやがって!後藤のじいさんには、よーく言っておくからな!!覚悟しておけよ、櫻井っ!!」




……………ん?


先生……。


今、《サクライ》と、言いまシタカ?



……1年E組のサクライといえば。



サッと血の気が引いていった。

もしか、もしかしなくても…………っ!



「はぁい、ハイハイ!もう、教室帰りますよ〜」



伸びやか声で呑気に答えながら、カーテンの向こうがわから現れた、そのひとは……………。


…………うそでしょ…?


そのひとは、わたしの青ざめた顔を見るなり、一瞬驚いたようだったが、その美しい顔でニッコリした。



「よォ!璃子ちゃんもサボり?」




−−−−やーめーてーッ!!!




………現れたのは、わたしの天敵・櫻井 義仲だった…。





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