《MUMEI》
第二章 ワタシノキモチ
「──おはよう、菜畑君」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「菜畑君?」




 やっぱり挨拶してくれない、か‥。




「‥‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「‥ぁ‥あのっ‥もし、時間があったら‥」

「またあの馬鹿げた話か」

「馬鹿げてなんかないよ、私は真面目に‥」

「くだらない」

「‥‥‥‥‥‥‥」




 話すら聞いてくれないの‥?




「‥何故」

「ぇ」

「何故君は‥そこまで彼の事を話したがる‥?」

「‥‥‥好きだったの」

「‥好き‥?」

「ずっと‥好きだったの。あの人の事‥」

「‥何故その人が僕だと思うんだ」

「始業式の日‥菜畑君を見た瞬間気付いたの。黄羽様だ、って‥」

「‥理解出来兼ねるな」

「信じなくていいから‥聞いて欲しいの。‥お願い」

「‥‥‥‥‥‥‥」




 菜畑君は、何も答えない。 ただ、黙っているだけだった。

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