《MUMEI》 夜中、窓を揺らす風の音に目が覚めた。 「兄さん……ぼく、一人だと眠れないんだけれど……。」 兄さんの扉をノックする。 「……モモの部屋に行け」 「居なかったもん……なんか、上の階でガタガタゆってた、センゴクサマの階は行っちゃ駄目だから。」 氷室の別荘では三階には足を踏み入れてはいけないと最初に忠告されていた。 「……チッ。」 兄さんはきまり悪そうな舌打ちをして扉から現れる。 「散歩でもしよう」 兄さんの散歩は動物を連れるものと同義語だと早くに気付きたかった。 兄さんにとって散歩も自由、捨てるのも自由という訳である。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |