《MUMEI》 『…猪俣さん……後のことは任せてくれ…。』 藤城は、猪俣の肩を軽く叩いた。 自分と対等か……もしくは、それ以上の貫目に舌を巻きながら…。 『藤城の親分……お世話になりました…。』 猪俣は、深々と頭を下げた。 『アンタも…達者でな…。』 藤城はクルリと背を向ける。 道風会の猛者達は、菖蒲の間を後にすると… 地鳴りのような荒々しい靴音が、紅葉館の長い廊下を遠ざかっていった…。 : : 前へ |次へ |
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