《MUMEI》

「そんな事ない‥」

「‥此花‥?」

「私の記憶は消えたりしてない‥。私の気持ちは変わってない‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「記憶は‥消えたりしないよ」

「何故そう言い切れる‥?」

「だって──‥魂が覚えてる」

「‥魂‥?」

「──うん。魂‥」

「魂‥か」




 菜畑君は呟くように言って、空を見上げた。





「少なくとも君は──そうみたいだな」

「──私だけじゃないよ」

「‥?」

「私だけじゃない。──みんな‥今ここにいる前には前世にいたんだから」

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