《MUMEI》

.


「どうしたんですかっ!?」




真っ先に、この教室へ駆け込んできたのは。


なんの因果か………。



−−−…………なんでっ!!



わたしは、青ざめた。今日はいろんなことがあったけれど、きっと今が一番、青くなったに違いない。

「いってーなぁ!!殴ることないだろ!」

いつの間にか、わたしの下にいた義仲が赤く腫れた頬を撫でながら、くってかかった。

わたしたちは、お互い、力任せに取っ組み合った結果、なぜかわたしが義仲を組み敷いたような体勢になってしまったのだ。



そこを、まんまと、目撃された………。



その、相手とは。



黒髪の短髪。すらりとした健康的な肢体。

そして、トレードマークの、黒いセルフレームのメガネ。



−−−あの、青年教師ィっ!!



わたしが、呆然としている青年教師を見つめたまま、硬直していると、義仲も視線を巡らせ、うわっ!と嫌そうな声をあげた。

「見つかっちゃった…」

そう、ぽつんと呟いた。

.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫