《MUMEI》 菜畑君と、教室に戻って来た。 私達はそれぞれ、自分の席に着く。 「──サクヤ」 ミドリが、小声で話しかけてきた。 「菜畑君、何か言ってた‥?」 「‥ぁ‥えっと‥」 周りにクラスメイト達がいるから、あまり詳しくは話せない。 けど、ふと思い付いて──私は生徒手帳を開いた。 【記憶を戻したいなら好きにすればいいって言ってくれた】 そう書いて、見せたら、すぐにミドリは返事を書いてくれた。 【マジ!? 良かったじゃん!】 【まだ、どうなるかは分からないけど‥】 【でも、それって一応認めてくれたって事じゃん?】 【うん】 そうだよね。 少しでも認めてもらえたなら良かった──。 前へ |次へ |
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