《MUMEI》 菜畑君が転校してきてから一週間。 私は、時間があれば昼休みに屋上に行って、菜畑君に昔の事を話している。 菜畑君は、まだ前世の事を信じている訳じゃない。 けど、話を聞いてくれるようになった。──鬱陶しそうではあるけど‥。 「とにかく──ウヅキとコノハは丘で会っていたという事だろう? 同じような事ばかり聞かされているような気がするけれど‥」 「昔は今みたいに色んな物がある訳でもなくて──だからどうしても単調になっちゃうんだ」 「君は毎日──その丘に行っていたのか」 「うん、毎日──」 「それは‥コノハを待つ為‥か?」 「うん、花摘みに便乗して」 「けれど‥彼は来なくなったんだろう‥?」 「うん‥」 ある日から突然、黄羽様は来なくなった。 前へ |次へ |
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