《MUMEI》
もう帰ろうかな、宿題もなんとかなったし。
今日の風は冷たい。
「れー?マゼンタだ」
ルナは大声で片手にオニギリを持ちながら揚々と手を振っている。
なづきの横に控えた。
「待っててくれた?」
「中々想像力豊かだこと」
なづきはルナの肘が腕にくっついたのが気になった。
目を合わせないように走り去る車を見ていた。
「今日は買い食いした。
あげないよ?
どうしてもって言うなら海苔くらいなら……」
「要らないって」
「遠慮すんなって
素直になりなさい。
無理は体に毒ですぜ」
海苔のカケラを差し出す。
「語尾変。
遠慮してません
くちゃくちゃ音立てないでよ」
「だって食べないとおかしくなるんだもん
何?また欲しい?」
ルナは唇に人差し指を充てた。
「バカヤロ」
グーで肘を殴る。
「いったい!肘のスキ間に刺さった!
何この異物!
…………あ
マゼンタ」
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