《MUMEI》

義仲が、乱暴にキスしてきたのだ。



………。

…………これは、なに?

………………なんなんだよっ!?



「ギャアッ!!」


わたしは力いっぱい義仲の腕をはねのける。しかし彼は満足そうに笑い、川崎先生を見つめた。

「今日からコレが俺のオンナだ。これで、いいだろ?」

エッヘン!と子供っぽく胸をはる義仲に対して、川崎先生は頭を抱えて嘆いた。

「くだらないことを……」




………。

……って、ちょっと!!

頭抱えたいのは、わたしだっつの!?

それに、くだらないってのはなんだ!

ヒトのファーストキスを!!




「わかったらとっとと失せろ、このメガネ」

「そうはいきません。命令ですから」

「俺を出世の道具にすんな。毎日毎日、追いかけまわしやがって」

「それは義仲さんが逃げるから」



男どもはわたしをほったらかして、グダグダ言い争いをしている。



−−−プチッ!!



わたしの頭の回路の線が、切れた。





「テメェら、いい加減にしろぉぉぃッ!!!」





わたしの怒声が、ふたたび穏やかな学舎の中に、響き渡った−−−−。






******

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