《MUMEI》

げんなりするわたしの顔を、義仲が見上げた。
そしてニヤリと笑った。


「照れんなよ。恥ずかしがるような仲じゃないだろ?」



一瞬の沈黙ののち。


義仲の発言に、クラス中がどよめいた。


「やっぱり、ふたりは…!」

「ああ〜!一番人気の片倉さんがぁ!」

「櫻井く〜ん!?冗談でしょぉッ!!」


……大騒ぎだ。


義仲は真っ青なわたしの顔を見つめ、悪魔のように笑った。

わたしは、顔が引き攣る。


……だから。


こーゆうこと言うなっていってんだよ!!









明くる日−−−。



わたしは3年A組のまえにいた。

こんな美少女が、ひとりでぼーっと立っていたら、そりゃもう目立つさ。当たり前だけど。

たくさんの男の先輩がチラチラとわたしに視線を投げかけてくるけれど、あえて気づかないフリをする。



そうよ。

あのアホ義仲のせいで、すっかり忘れていたけれど、


わたしは、誰もが認める美少女よ!!


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