《MUMEI》

松本先輩のすぐ目の前で、わたしはニッコリほほ笑んで見せた。

「こんどの日曜、一緒に出掛けましょう!ハンカチ、弁償させてくださいっ!!」

わたしの提案に、松本先輩は、えっ!?と素っ頓狂な声を上げた。

「いや、なにもそこまで気を使わなくても…」

モゴモゴと口ごもる先輩の目をまっすぐ見つめ返して、わたしは、悲しそうに眉を歪ませてみせた。


「………ダメ?」


わたしに魅入られた先輩は間髪入れず、OKです!と答えた。


………はい、釣れたー!

ちょろーい♪




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