《MUMEI》

「克哉さん、おはようございます」
「あぁ…おはよう」

キッチンでコーヒーだけの朝食を取っていた早起きな克哉さんの後ろ姿に話しかけると、ぼんやりと昨日の新聞を読んでいた克哉さん目の前に歩いて行って、見て下さいと言って自分のお腹を抱えて見せた。

「孕んでしまいました♪」

ブフォ!

克哉さんは僕の姿を見るなり、読んでいた新聞にコーヒーを勢いよく吹き出した。


「やけに大きいな…中身は四歳児ぐらいじゃないか?」

克哉さんが僕の膨らんだお腹の下の方を撫でると、中の子がくすぐったそうにフニフニと動く。

「やーん…///」

お腹の中の子は僕のトレーナーの中でモゾモゾすると、眠そうな可愛いらしい声でイヤイヤをしていた。


ソファーに座って丸くなったお腹を撫でていると、素肌に小さな子供特有の高い体温がほんのりと伝わってくる。

トレーナー越しに僕の指を握ってきた小さな手を、僕も握り返す。

「んふふ…///」
「んきゅ///…ふへへ///」

お腹の中の子供のフワフワな髪の毛や、柔らかな頬や唇が触れてくる感触が、僕の心の中まで幸せにしてくれた。


柔らかなお腹の子をしばらく抱っこしてぼんやりと幸せを感じていると、トレーナーの中から視線を感じた。

「ん…何かな♪」

中の様子を見てみると、真っ暗な中に真ん丸な目が二つ、猫のようにクリクリと輝いていた。

「出る?」
「もうそろそろ出産か?」

スーツに着替えてきた克哉さんがネクタイを締めながら僕の側まで来ると、ソファーに座った僕の太股を撫で下ろしてきた。

「んっ…///」
「陣痛か♪」

克哉さんはニヤリと笑いながらそう言うと、僕の膝の辺りを撫でながら手を内股に滑り込ませて足を開かせようとしてきた。

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