《MUMEI》

ブスが続ける。


「ちょっと見、顔キレイだからって、調子のりすぎじゃない」」

「櫻井くんだけじゃなくって、松本先輩まで手ェ出す気かよ!」

「どーせ、玉の輿とか狙ってんでしょ?」

「外部生のビンボー人が考えそうなことよね〜」


わたしは黙っていた。黙ったまま俯いた。


ここは、屋上。

このブスども以外に、誰もいない。


ブスのひとりが、アレェ?と、わたしの顔を覗きこんできた。


「もしかしてェ、泣いちゃったのォ?」


キャハハッと楽しげな笑い声が聞こえる。


わたしは、人知れず、ニヤリと唇に笑みを浮かべた。


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