《MUMEI》 お似合い義仲は、乱れた襟を直しながら、そうだなぁ…と呟く。 「璃子ちゃんがマジでピンチのときは、迷わず助けますよ」 ……調子いいことばっかり。 わたしが小声で呟くと、義仲は満面の笑顔で振り向いた。 「なにか?」 眩しいくらいのほほ笑みが、余計に怖い。 「いーーえっ!なんにも!!」 ………ちっくしょーーー!!! わたしはこぼれ落ちそうな涙を、グッとこらえた。 負けるもんか…。 負けるもんかっ!! こんなチャラ男に、屈服してたまるかー!! わたしは義仲に促されて廊下を歩いていた。 「あれ見て!!」 「今、噂のカップルでしょ?」 「うわ〜、ド迫力……」 「美男美女的な?」 道行くひとたちの視線がわたしたちへ向けられる。 ………それも、そうかぁ。 わたしは義仲を見上げた。 . 前へ |次へ |
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