《MUMEI》

卒業式が終わり、私は一人
図工室にいた。
図工室は、私と彼の場所。
そして・・。
私が、ふられた場所。
カバンから、香水をだし
一吹きしてみた。
あまい、ピーチの香りが部屋に充満する。
覚えてる。
この香り。
まだ、仲良かった頃。
彼が誉めてくれた香りだった。

「がらっ!」
勢いよく誰かが、教室の扉を開け入ってきた。
それが誰だか。私にはわかった。
「どうしたんだよ。いきなり泣き始めて。」
そういうと彼は、私の頭に手をのせた。
私の事がすきじゃないんなら。
期待させるような事、しないでよ・・。
あなたのその優しさが。
あなたのその笑顔が。
私から笑顔をとっていくんだよ?

前にもあった・・。
修学旅行の時。
怪我した私を、周りにちゃかされても
お姫さま抱っこしてまで助けてくれた。
肝試しがこわくて。
進めないでいたら手を握ってくれたよね・・。
夏休み。
それは私にとっての。
一番つらい季節・・・。

「なぁ、どうしたんだよ。」
違うの。
このまま離れたくないだけ。
付き合わなくてもいいから、ただあなたのそばにいたい。
その願いも叶わずに終わるんだね・・。
あなたとの思い出は、とてもとても大切な物。

でも。
思い出すのはあの時の言葉。
「俺、他に好きな人いるから」
言われたのは夏休みだった。
あの日から。
そう。

私は夏が嫌いになったんだ・・・。

                          
             
                     

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