《MUMEI》

 ミドリが、菜畑君を屋上に引っ張って来てくれた。




 ちょっと‥強引かも知れない。 けど‥どうしても確かめたいから。




「‥何なんだ二人して‥。僕にこれ以上何を訊きたいんだ」

「‥‥‥菜畑君、正直に答えて欲しいの」

「‥何の話だ」

「菜畑君は‥本当に全部覚えてないの‥?」

「そう言っただろう」

「‥もしかしたら‥、一部だけ覚えてるとか‥」

「しつこいな」

「っ‥」

「何度も言わせないでくれ。‥僕は何も覚えていない」




 菜畑君は、冷たい目をしていた。




 ‥氷のように、冷たい目を。

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