《MUMEI》

.

なに?

このふたり。

入学式のときから、ヘンだとおもってたけど…………。


………知り合い、なの?



川崎先生は呆れたように、力無く首を横に振る。

「俺たちは、《カタギに迷惑かけない》っていう掟のもとに働いてますから」


…………カタギ?


なにそれ?やくざドラマ??

ああ。そうね。

『ご○せん』とか、『任侠ヘ○パー』とかソッチ系のドラマ流行ってるもんね。


なんて、適当なことを考えていると。


義仲が川崎に向かって、フッと優しくほほ笑んだ。けれど、その瞳は凍てついた氷のように冷たかった。

彼は黙って、わたしの身体をグイッと引き寄せる。

「じゃ、璃子ちゃんがカタギじゃなくなれば、文句ないんだよなぁ?」


カタギじゃなくなる?

どういうこと??



すべてを理解する、そのまえに……。




わたしの唇が、温かい《なにか》でふさがれた。




−−−−−義仲の唇だった。




.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫