《MUMEI》

 菜畑君が言っている事が本当なら‥私と菜畑君は同じ夢を見た事になる。




 記憶の断片みたいな夢を‥。




「菜畑君‥その桜の事を覚えてる‥んだね‥?」

「──覚えている、と言える程明確な記憶ではないけれど‥」

「でも、一欠片でも残ってるなら──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「どうしたの‥?」

「‥僕が持つのは、本当に一部分の記憶に過ぎない。君の事は‥全く覚えていない。ただ‥‥‥桜‥それだけは夢に見た」

「‥桜‥」




 もしかしたら‥その桜が鍵なのかも知れない‥。 ‥けど‥。




 それ以上の事は分からない。




 菜畑君は、本当に私の事を覚えていない。 けど、桜──あの桜の事は覚えている。




 あの桜を見れば、何か思い出してくれるのかな‥。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫