《MUMEI》 だから慎重に家に入って行ったんだ…。 自分の不甲斐なさを恨んだ。 顔を上げると、既にグレイドとラルフは距離を置いて対峙していた。 じりじりと、お互いが間合いを詰めて行く。 思わず緊迫した光景に息を呑んだ。 グレイドがゆっくりと、漆黒の翼を広げて行く。 ラルフが低い姿勢になり、身を屈めた。 そして……。 「おらぁ!!」 一瞬の間を置いて、何処からとも無くお互いが飛び交った。 金属特有の、奏でる音が聞こえた。 グレイドがいつの間にか剣を手に持ち、ラルフに振り下ろしていたのだ。 ラルフはその剣を鋭い牙で挟んでいる。 恐ろしく強靱な顎だ。 この闘い、命掛けじゃないか!? 予想に反して余りに本格的な出来事に、度肝を抜かれた。 前へ |次へ |
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