《MUMEI》

「”赤ちゃん帰り”ってやつですかね?」
「…下の子が出来たらなるっていう、アレか」

子供に下の兄弟が出来たとたん、その子が急に聞き分けの悪い子になって親の気を引くっていうヤツだ。

下の兄弟が出来たというワケでは無いけど、僕のお腹に入って昔を思い出してしまったのかもしれない。

「…分かりました……僕が、育て直します!」

たとえ数時間でも僕のお腹の中に…というか服の中だけど、でも、入っていたんだから僕の子供みたいなものだ。

(僕の…赤ちゃん…か)

「くるみ…ちゃん」
「ん〜///」

ギュッと抱きしめてくるみちゃんの名前を呼ぶと、僕の腕の中でモジモジとぐずる。

その姿がキュンとなるくらい可愛いらしかった。

「アキラ…」
「はい…何ですか…」

克哉さんに呼ばれたけど、僕は今、くるみちゃんの可愛さにメロメロだった。

「くるみに構いっきりになるのはいいが…」

そう言って克哉さんは僕の腰に手を廻してくると、いきなり顔を近づけてきて僕の耳を甘噛みしてきた。

「んっ///」
「俺の事も構ってくれないかな…」

そう耳元で甘く囁くと、腰を撫でる手をだんだん下におろしていく。

「な何ですか……もう…大きい…赤ちゃんですね///」

克哉さんはまるで赤ん坊がミルクを吸うように、僕の唇をペロリと舐めると少しづつ触れながら優しく吸ってきた。

んチュ……チュッ。

「ふぁ…何ですか…もう///」

僕も克哉さんの唇にお返しのキスを何度もしていると、くるみちゃんはその様子を僕の腕の中からまん丸な瞳でジーッと見つめていた。
  

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