《MUMEI》
「全く、疑り深いな〜。せっかく遠路はるばる会いに来たというのに。」
ズカズカと家に上がり込む。
「…………」
「ん?どうしたリン?」
リンはなにやらうつむいて玄関先に立ち尽くしていた。
「こ、」
「?」
「怖かったぁ〜〜!うえぇぇぇぇんっ!」
泣き出した!
「お、おぉ?ヘイヘイ、泣くなよ……。」
狼狽えるオレ。
「なんで電話通じないのよー!なんでアパートの人がみんないないのよー!っひく、うえ…、なんで、なんで………なんでゾンビだらけなのよー!!」
「まぁまぁ、落ち着け。なっ?」
「ふぇ〜〜〜〜ん!」
………
……
…
「よしよし、落ち着いたか?」
リンの背中を撫でてやる。
「………うん。ありがと、ケン」
やっとリンが顔を上げる。そして背中をさすっているオレと目があい
「…………」
「?」
「って、なんでアンタが私の背中なでてんのよ!!この変態野郎〜〜!」
ばきっ
「世界はいつも理不尽だねっ!?」
殴られた……。
この強気でかよわいハイブリッド少女は、名を柊凛という。タカと同じくオレの幼なじみ兼友達である。むさい男の中の紅一点に見えるが、先ほどのコークスクリューの段のようにタカなんかよりよっぽど凶暴だ。以前、修得したばかりのブラホック外しを彼女に実践してみたところ、傷害事件に発展しそうなくらいの暴行を受け、オレは世界の残酷さを垣間見た。(泣)
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