《MUMEI》
大袈裟
「今日は例のニュースで皆盛り上がってたね。」

学校を出てからも、やはりその話は続いた。

加奈子自身、正直興味があったし、身近な所で起きた事件だ。もっと詳しく知りたいと、美雪の言い出しに乗った。

「そういやさ、第一発見者の女性って今どうしてんのかな?」
「ん〜、あんま詳しくは報道されてなかったけど、なんか入院してるって。」

「入院、か…。」
「多分精神が不安定になっちゃったんだと思う。」

美雪は同情するかの様な表情で言う。

「どんな死体だったのかは実際見てないけど、大体わかるじゃん?」
「そりゃ、まぁ。」


言わば‘ミイラ’でしょ?


「そんなん見ちゃったら誰だって、ショック大きいよね…」
「…そうだね。」

美雪が余りに暗い声で言うから、加奈子までテンションが下がってしまう。


あ〜、この雰囲気シンドイ!
なんか話題変えなきゃ!!話題…話題…

え〜っと…




「あぁ!」
「うわ!何なに!?」

美雪がいきなり大声を出したものだから、一体何事が起こったのかと、加奈子は後退りした。

「あの人ってさ、加奈子の…」
そう言って美雪は指を差す。加奈子も指された方向に目をやる。

「シュウちゃん!!」

加奈子がバイトしているコンビニの前で、修二がタバコを吸っているのが見えた。

「やっぱ加奈子の彼氏か」「…もしかして、さっきの雄叫びは‥コレ?」
「うん!」


はぁ〜…
ビックリさせないでよ…


加奈子が呆れていると、二人の声に気付いたのか、修二がこっちに向かって走って来るのが見えた。

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