《MUMEI》
女装について
「い、や、…それが…、」

《するんだな》

「…あくまでも、狼として、女物の洋服を着るって設定だけど」


『やっぱり先輩の女装は入れないと』


いくら俺が反対しても、坂井を筆頭に、皆にそう言われ


俺は、今年も劇の中で女物の洋服を着る場面があった。


《どういう状況だ》

「俺が赤ずきんのばあちゃんと茶のみ友達で、お茶してたらばあちゃんがうっかりお茶を俺の服にかけちゃって、かわりにって着せられる状況」

《何だその設定。しかも何故狼が洋服着てる》

「人間に会う時はちゃんと洋服着てる設定」

《原作無視した劇だな》

「よくわからないけど、そうでもないみたいだぞ?

三匹が作る家がワラ・木・レンガだったり

赤ずきんがおばあちゃんのお見舞いに行く為に森に行く辺りだけは一緒らしいから」

《『だけ』か》

「らしい」

《最初からストーリー説明しろ》

「時間大丈夫か?」

《無ければ聞かない》


『無意味な質問をするな』


そんないつもの忍の態度に


俺の気まずさは、いつの間にか消えていた。


(まぁ、いつも通りちょっとムカつくけど)

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