《MUMEI》
三匹の狼
あるところに、三匹の狼がおりました

『いいかい、お前達。可愛い人間のお嫁さんをもらうには、ただ襲うだけじゃダメ。
ちゃんと家があって家事ができるタイプが今はモテるんだからね』


そう、狼達の母親は言って、三匹を送り出しました。


三匹は、狼の父と人間の母の間に生まれた中途半端な狼で、人型に狼の耳と尻尾を持っていました。


一番目の狼・一狼はイケメンだけど不器用で面倒くさがり


『ま、いっか。こんなもんで』


そんな彼が建てたのは、ワラの家でした。


二番目の狼・二狼は平凡だけど、真面目な性格


『…本当はもっとちゃんとしたかったけど、野宿は嫌だし、こんなもんかな』


そんな彼が建てたのは、木の家でした。


三番目の狼・三狼は、可愛い系で、天然


『レンガとか、丈夫だし、…いいな』


そんな彼が


…一人でレンガの家を建てられるわけはありません。


『いいや、今日は野宿で』


そう言って、彼が寝ている間に


彼の可愛さにメロメロの森の動物達が、立派なレンガの家を建てたのでした。


『あれ? できてる? …ま、いっか。ラッキー』

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