《MUMEI》

「だって三人で行くんだからさ、お菓子も三人分必要じゃん?」

「菜畑君‥お菓子好きなのかな‥」

「非常食って事にしとけばいいじゃん」

「う、ん‥」




 けど問題は、どうやって菜畑君を誘うか‥なんだよね‥。





「サクヤっ、ほら行くよっ」

「ぇ‥、ミドリっ‥」




 菜畑君は、廊下を歩いていた。 何やら、分厚い本を抱えて。





「菜畑ぁ!」




 ミドリが、菜畑君を呼び止めた。




「君に呼び捨てで呼ばれる筋合いは無い」

「あんただって石井ってよぶじゃん」

「あんただって石井ってよぶじゃん」

「──‥何の用だ」

「放課後スーパー寄ってかない?」

「‥何を言っているんだ‥?」

「金曜には出発するんだしさ、お菓子買いに行こうよ」

「‥‥‥くだらない」




 菜畑君は、それだけ言って行こうとする。



 それを、ミドリが引き止めた。

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