《MUMEI》
劇の終盤
「赤ずきんと三狼のやりとりは、最初は、…原作とほとんど一緒…

で、三狼の可愛さに呆然としてる赤ずきんと、女装見られて固まる三狼…

そこに、…赤ずきんの臭いかぎつけた、一狼が…」

《おい》

「で、一狼と三狼のやりとり聞いた赤ずきんが嫉妬して狩人呼ぶとか言い出して修羅場で…」

《寝るな》

「おばあさんが川から帰ってきて… …

めでたしめでたし…」

《おい、祐也》

「悪い、忍、寝かせてくれ…明日も練習、あるし…

明日、資源ゴミの日、だし…

俺は無いけどエイミーに付き合わないといけないし


妖しいシーンは無いから…

おやすみ」


既に途中から意識が朦朧としていた俺は、それだけ言うと、携帯を切って意識を手放した。


報告の途中で寝たのは初めてだった。


それほど、最近の俺は


特に、今日の俺は疲れていた。


(明日文句言われたら、素直に謝ろう)


そんな俺の決意は


起床と同時に打ち砕かれた。


うつ伏せで寝ていた俺が目を上げて見上げた先では


…忍が俺から奪った台本を読んでいたのだ。

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