《MUMEI》

スキンヘッドはグイッと義仲の顔を引き寄せて、唾が飛び出しそうな勢いで怒鳴り出した。


「このクソガキ!痛い目みねぇとわからねーのかっ!!」


固く握りしめた拳を振り上げた。



わたしは両手で顔を覆った。





−−−−殴られる!!






だれもがそうおもった、そのとき。







…………奇跡は起きた。








−−−−−ズダァァンッ!!





グラウンドに沈んだのは、義仲…………


………ではなく、スキンヘッドの方。



義仲は無傷のまま、倒れこんだ男のまえで仁王立ちしていた。


一瞬、さっき起こった出来事が、理解出来なかった。


わたしは必死に記憶を巻き戻す。


スキンヘッドが拳を振り下ろすまえに、義仲の拳が、ものすごいスピードで男の顔面に吸い込まれていったのだ。



……なに?

なにが、起こったのっ!?



完全に気絶しているスキンヘッドを見下ろし、義仲は不満げに鼻を鳴らした。



「クソ弱ぇな…」



.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫