《MUMEI》

 ──放課後。




私は、ミドリと生徒玄関を出る所だった。




「‥あれ‥」




 誰かいる‥?




「菜畑君──」




 菜畑君だ。




「帰ったんじゃ‥」

「特に用も無いし‥君達に付き合ってやらないでもない」

「ぇ」

「案内してくれ。あまり町中へは行かないから場所が良く分からない」

「ぅ‥うん」




 菜畑君──一緒に行ってくれるんだ。




「良かったね、サクヤ♪」

「うん」




 ──嬉しい。




「此花、石井」

「ぇ」

「何‥?」

「行くんだろう。もたもたしていると日が暮れるぞ」

「ぁ‥うんっ」




 そうだった‥あんまりゆっくりしてられないんだった。




「それじゃ、行こっか」




 ミドリが、先頭に立って歩き出した。

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