《MUMEI》

.
義仲は視線を流しながら、続ける。


「テメェらのくだらない《リクエスト》に、わざわざ応えてやったんだ。ヘッドが挨拶しにくんのが礼儀ってモンだろ」


リクエスト?


みんな、わからないといった顔をした。


………あいつ、なに言ってるの?


困惑する中、

それまで少し離れたところで、

バイクにまたがり、この騒動を静観していたひとりの不良が、

ヒラリとバイクから下りて、


おもむろに、まえへ進み出た。


義仲もその男に気づき、ゆっくり彼を睨みやる。


男は白い特攻服をまとい、不良が好きそうな、レイバンのサングラスをつけていた。


義仲とサングラス男が対峙する。

身長は、ともに同じくらいか。



ふたりはしばらく睨み合ったあと、



サングラス男が、低い声で義仲にむけて言った。




「おまえが桜鷲会のガキか…」




………。


……………?



《オウシュウカイ》のガキ?



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