《MUMEI》
隣に挨拶
ピンポーン


「は〜い」

[エイミー、だからそこで曲がらない!]

[…わかってるわよ!]

[わかってない!]


(また迷ってるのか)


朝食を済ませた俺は、扉の前でエイミーが出てくるのを待っていた。


そんな俺の隣には


忍が、立っている。


「お待たせ、あ、祐也! 、…と?」

[はじめまして]


忍を見て、エイミーは固まった。


[あれ? 祐也と、…誰?]


一緒に出てきたアルフも首を傾げた。


[祐也の保護者です]

[[あ、…祐也の彼氏]]


頭を下げる忍に、二人がハモった。


(頼情報だな)


[どうも。名前でうちの祐也を呼ぶほどもう仲良しなんですね]

[あ、ごめんなさい]

[そっちの方が言いやすくて…]

[構いませんよ]


笑顔を向ける忍に、二人はホッとしていた。


(…嘘つき)


俺だけは気付いていた。


忍の笑顔が、作り笑いで


二人に対して、静かに怒っている事に。


(やっぱり、すぐには難しいよな)


忍はやはり、二人を憎んでいるように、俺には見えた。


その時


[あの、どこかでお会いした事ありませんか?]

[あ、俺も思った]


二人が同時に忍を真っ直ぐ見つめた。

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